柿喰う客 女体シェイクスピア002
柿喰う客 女体シェイクスピア002「絶頂マクベス」
- 原作:ウィリアム・シェイクスピア
- 作・演出:中屋敷法仁
- 舞台美術:原田愛
- 照明:松本大介
- 音楽:佐藤こうじ
- 衣裳:高木阿知子
- 出演:七味まゆ味、深谷由梨香、葉丸あすか、、岡田あがさ、荻野友里、小野ゆり子、きたまり、葛木英、斎藤淳子、佃井皆美、新良エツ子、藤沢玲花、我妻三輪子、渡邊安理
- 劇場:吉祥寺シアター
- 評価:☆☆☆☆★
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昨年上演された『悩殺ハムレット』に続く、柿喰う客による女優のみによるシェイクスピアの第二弾。
奇抜で独創的な仕掛けのモダンでスピーディな『マクベス』、しかし核となる部分はしっかり押さえていて極めて正統的な「マクベス」でもあった。
『ハムレット』のときも感心したが、テクストレジが本当によくできている。アフタートークでの質問のやりとりによると、既存のあらゆる日本語訳を参照しただけでなく、中屋敷自身が原文にもあたって作り上げた脚本だとのこと。
一見、娯楽性を前面に出したちゃらちゃらとした芝居であるが、原作のドラマの骨格は見事に生かされている。シェイクスピア好きなら、これだけは外せないと思う壺はしっかり押さえられていて、2時間に満たない上演時間にもかかわらず、『マクベス』を見たという充実感を味わうことが出来た。
シェイクスピアの台詞の修辞の面白さを、だらだらしたルーズな若者言葉を通して伝えるという発想も素晴らしい。明るく、軽やかでポップな表現によって、「マクベス」の悲劇を浮かび上がらせるという逆説がかっこいい。主演の深谷由梨香は、見た目、芝居ともに素晴らしいのだけれど、今回は若干一本調子に感じられたのが難点か。マクベス夫人の喜劇性、コケットリー、三人の魔女の表現は秀逸だった。女だけの舞台で、陰惨な悲劇が軽やかな空気のなかで展開する。できればもっと近くの席で見たかった。
次回の女体シェイクスピアは『ジュリアス・シーザー』だとのこと。楽しみだ。