閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

淡路人形浄瑠璃

淡路人形座
淡路人形座公式ウェブサイト
演目:日高川嫉妬鱗 渡し場の談

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淡路島の伝統芸能である人形浄瑠璃の劇場が昨日から一般オープンしたことを、神戸新聞の地元欄記事で知って、父、母、娘と一緒に見に行った。淡路人形浄瑠璃は幼い頃見に行ったのだが、ほとんど覚えていない。見に行ったことは覚えているだけ。なので実質、今回がはじめての鑑賞である。

劇場、淡路人形座は淡路島の南端、鳴門海峡に面した福良という町にある。私の両親宅は垂水で、明石海峡大橋のすぐそはなのだが、福良に行くには淡路島を縦断しなくてはならない。自動車で一時間ほどかかった。淡路島、案外広い。

淡路の人形芝居の歴史は500年ほど前まで遡ることができるらしい。最盛期は18世紀後半で島内に約40座があり、他国へも旅公演に出かけていたとのこと。上演様式は文楽とほぼ同じ。義太夫節と三人遣いの人形による芝居だ。ただし人形のサイズは文楽のものより大きい。150年ほど前から50年ほど前に人形の大型化が進み、記録によると2m近い大きさの人形が使われていたこともあったとのこと。文楽と共通するレパートリーも多いが、文楽では上演されなくなったもの、淡路独特のものもある。

淡路人形座は現在淡路に残る唯一の座らしい。この夏に座席数180ほどの新劇場を福良にオープンさせた。内装が木造の趣味のいい劇場だ。昨日がグランドオープン。今日はオープン二日目で、夏休み中ということもあり大混雑だと思ったら、私たちが見た11時開演の会は15名ほどしか客がいなかった。これはかなり寂しい。

一回の上演時間は45分。一日五回公演で、回ごとに演目が変わる。最初に人形芝居についての解説が15分程ある。私が見た回で上演されたのは「日高川嫉妬鱗」という外題の道成寺ものだった。歌舞伎と文楽で見たことのある「日高川入相花王」とほぼ同一の話。三人使いの人形が二体、三味線と太夫が二人ずつの構成で上演され、男の太夫が清姫を、女の太夫が船頭を語った。

上演時間は実質30分程の観光客対象の公演だが、人形の操演、演出ともに完成されたもので思いのほか見応えがある充実した公演だった。機会あればまた他の演目も見てみたいとおもった。料金は大人1500円。また木でできた劇場内装のセンスもいい。客が少ないのが残念だった。他の付近の観光ポイントと連係して、もっと客が増えるといいのに。淡路島は観光ポイントが多いわりには活気を感じない。