- 構成・演出:どいの
- 美術・衣装・人形:五月
- 木工:健太
- 出演:暗黒健太、五月うか、2B、石田みや(第七インターチェンジ)、どいの、ほか
- 会場:吉祥寺 井の頭公園西園 ジブリ美術館裏
- 上演時間:2時間
- 評価:☆☆☆☆
ちょっと疲れていて、観劇コンディションはいまいちだった。 5分ぐらいの短い出し物がヴァラエティ・ショー風に連鎖していく。 最初はあまり劇世界に入ることができなかった。 演目はときに詩的な朗読に近いものもある。楽器演奏や歌が中心の時もあれば、舞踊などの身体的表現が中心のときもある。 3畳ほどの広さの背景幕が演目毎に入れ替わる。そこに描かれている絵が面白い。風景画が多い。
掘っ立て小屋のような特設テント劇場を飾っていた雑多な装飾が演目が進むにつれ徐々にとりはずされ、舞台が素舞台に近づいていく演出がいい。装飾の剥奪と反比例するかのように、劇世界の幻想は濃厚になっていく。いや観客のほうが徐々にどくんごの幻想の濃度に慣れ親しんでいく。最後のほうでは背景幕も使われない。舞台の後方は暗い井の頭公園にがらんと開け放たれている。この後方の空間の使い方がとても巧みで、終盤になる前のいくつかの演目でも演者が公園のなかを走り、観客から遠ざかっていく演出が使われていた。
どくんごの公演は優しい詩情に満ちている。前衛的で狂ったナンセンス牧歌劇だ。 表現の意味を探ろうと集中して舞台を眺める必要はないと思う。むしろその自由でゆるやかな表現をぼんやりと受けとめ、徐々にゆっくり馴染んでいけばいい。