「ニッポンの河川、福原充則は面白いよ」といった話は知り合いのシアタゴーアー数名から聞いていたのだけれど、これまで見に行ったことはなかった。今回のニッポンの河川第6回公演『大きなものを破壊命令』は、ツィッターの私のTL上で、ということは私と演劇の嗜好が少なからず重なる人たちのあいだで「必見もの」と大絶賛されていたため、チケットを取った。
舞台はほぼ正方形で四方は観客席に囲まれている。上方には様々な種類の照明器具がからまりあうようなかたちで吊されている。4人の女優の芝居なのだが、この4人の女優が芝居をやりながら、照明のスイッチの切替を行う。それだけでなくてカセットテープ再生機を各自持っていて、適宜テープを入替えながら音出しも行う。この照明と音響の切替がかなり目まぐるしいのだ。カセットテープを入れ替えていることは、上演中は私はわからなかった。音を鳴らし終わると使い終わったテープを舞台のわきに投げ捨てていたのだが、暗くてそれが見えなかった。かちゃかちゃと何を捨てているのだろうと思って見ていた。
私にはちんぷんかんぷんの芝居で、作品の魅力は正直なところわからなかった。照明、音響も舞台上の女優たちが制御していて、しかもその手順がかなり複雑だったので、女優にとってはずいぶん負担の大きい芝居であることはわかったのだが、女優たちが自分でスイッチを入れたり、切ったり、行うことの何が面白いかわからない。
だいたい台詞が音楽とかぶったり、早口で不明瞭だったりして、何を言っているのか理解できないところが多かった。エピソード自体よく理解できなかったし、各場面のロジックの飛躍について行けなかった。ギャグも面白くない。舞台で展開していることをつかむことができず、置いてかれてしまった感じで。TLで知人たちが絶賛していた内容も仕掛も楽しむことができず、癪にさわるけれどしかたない。