- 作・演出:ノゾエ征爾
- 音楽:田中馨、川村亘平斎
- 美術:稲田美智子
- 舞台監督:田中翼
- 出演:井内ミワク、町田水城、鈴真紀史、滝寛式、竹口龍茶、踊り子あり、川上友里、鳥島明、、富川一人、山口航太、ノゾエ征爾、笠木泉、上村聡(遊園地再生事業団)、河井克夫、橘花梨
- 劇場:東京芸術劇場 シアターイースト
- 評価:☆☆☆★
-------
http://www.haegiwa.net/kouen/2014_haenoyounimai.html
はえぎわの本公演を見るのはこれがはじめてだった。
二年前にノゾエ征爾が演出したSPACによる『病は気から』が、モリエールの古典を今の日本の演劇としてどう扱うべきかという問いに対するひとつの説得力のある回答になっているような公演だった。それ以来、ノゾエ征爾は何となく気になっていた。春にアゴラ劇場で見た川端康成の小説の翻案劇はまったく楽しめなかったのだが。
『ハエのように舞い 牛は笑う』は、このタイトルから何となく想像できるとおりの脱力系のナンセンス喜劇だった。ナンセンスではあるけれどストーリーの枠組みみたいなものはある。桜が島という架空の火山島が舞台である。
母とその娘二人(母親は離婚して、姉と二人でこの島に住む。母は常に洗濯物をたたみ、拭き掃除をしている。姉はこの島のボーリング場で働いている。牛乳が飲めないがそれを克服しようとしている。妹は東京の高校に通い、夏休みにだけ島に来る。)、ボーリング場の女性支配人(まだ若い)とその部下(小男)、飲料自動販売機に飲料を補充する孤独な男、アグレッシブな島の女(謎)、この島に旅行にやってきた中年夫婦(あまりしっくりいってない。妻は夫に対する関心を失っているようだ)、ゾンビおたくで六年前からゾンビ・エキストラとしてこの島に住み着いている若い男とその兄、そしてゾンビ仮面を被ったままの謎の男(この島ではなぜかゾンビ映画の撮影が頻繁に行われ、島の大きな収入減になっている)。
ちょっと奇妙な設定のこれらの登場人物たちによるナンセンスなコント(5分ほどの長さ)が次々と演じられる。舞台の左右にはミュージシャンがいて、生演奏。噛み合わない夫婦の様子は、私と妻のやりとりを連想させるところがあってちょっと興味深かった。
人を小馬鹿にしたような乾いた笑い、洒落たナンセンス、洗練された小技。こういうカッコよさは今の自分が演劇に求めるものからはズレている。よく出来ているかもしれないけれど、私にとってはどうでもいい芝居だった。
ギャグの切れがよくて最初のうちはけっこう笑って見ていたけれど、40分もするとその薄っぺらさに辟易とする。その薄さもまた計算されたものなのだろうけど。一時間後以降は、退屈してちょくちょく意識を失う。
ケラリーノ・サンドロヴィッチあたりののりとよく似ている。ちょっとひねくれたいかにも小劇場っぽい内輪の笑い。そういえばケラの公演ももう何年も見ていない。