閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

雪の女王

http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/06-2-4-17.html

  • 原作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
  • 脚本・演出:テレーサ・ルドヴィコ
  • 美術・照明:ヴァンサン・ロングマール
  • 音楽・作曲:神田佳子
  • 翻訳・通訳:石川若枝
  • 衣装:田中洋介
  • 出演:森下真樹,宮光真理子,楠原竜也
  • 演奏:神田佳子(打楽器),本橋文(篳篥
  • 劇場:三軒茶屋 世田谷パブリックシアター
  • 上演時間:65分
  • 評価:☆☆☆☆
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こども向きの公演ということで五歳の娘を連れて観に行くが,演出自体は,一時間強という上演時間の長さ以外は,特に子供に配慮した感じは乏しい.台詞芝居ではあるものの,全体の色調は舞踏的なテイストを取り入れた幻想的な舞踊劇といった趣きである.音楽は打楽器と篳篥の生演奏で,舞台の風景や人物心理に合わせた即興音楽風でかっこいい.照明・美術センスは卓越していた.視覚表現優位の舞台で,特に紙吹雪の中にスピードのある舞で表現された立ち回りの場面の美しさは非常に印象的だった.ただ子供向き作品としては,全般に照明が暗すぎる感じがしたし,「笑い」に乏しい舞台であるように僕は思った.五歳の子供には難解すぎたかと思ったが,わからないなりに楽しんでいた様子.
僕は視覚に強く訴える表現の洗練には惹きつけられたものの,こども向きと称しながらこれみよがしの「高踏的」雰囲気に若干の反発を感じる.いくらなんでも「かっこつけすぎ」ではないかという感じ.大人向け作品としては脚本の素朴さが物足りない.
主演の宮光真理子は,ポパイの恋人のオリーブのようなすらりとした体型の女優.顔立ちも個性的かつ美しいが,軽やかな身体の動きと長い手足の優雅な動きの美しさがとても印象的である.

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上演終了後,世田谷パブリックの入っているビルの26階展望台に上る.展望台の存在を今日知ったのだ.展望ロビーの広さは30畳ほどだが,無料だというのがすばらしい.娘の希望,そして僕も一度乗ってみたかったこともあり,帰りは三軒茶屋から下高井戸まで世田谷線に乗る.新型車両は窓が大きく開放的.色もカラフルで車体デザインがしゃれている.運転席のすぐ後ろに立ち,前方の景色の流れていく様子を楽しむ.