http://www.nntt.jac.go.jp/season/s262/s262.html
- 作 : 平田オリザ/金 明和
- 演出 : 李 炳莒/平田オリザ
- 美術 : 島 次郎
- 照明 : 小笠原 純
- 衣裳 : 李 裕淑/菊田光次郎
- 芸術監督 : 栗山民也
- 主催 : 新国立劇場
- キャスト :三田和代,小須田康人,佐藤誓,椿真由美,蟹江一平,島田曜蔵;白星姫,李南熙
- 上演時間 :2時間20分
- 評価 :☆☆☆☆
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2005年五月の新国立劇場での再演をNHKの芸術劇場で放映されていたのを録画したもの.録画したままずっと放置していたのだが,今日は第二子が保育園を休み日中二人きりだったので,子供が昼寝しているときにみる.赤ん坊は昼寝しても眠りが浅くすぐ目覚めてしまうので,そばにいて目を覚ましそうになったら身体を軽くたたいてやらなければならないのだ.赤ん坊が寝ているそばに座ってビデオ鑑賞.
作品の初演は2002年で朝日舞台芸術賞グランプリほか,韓国でも舞台関係の賞を受賞した.2005年の再演も評判がよかった舞台.日韓の演劇人の合作だが,日常性の中のゆらぎを精緻に描く平田オリザらしい作風が生かされた優れた舞台だった.設定,主題,日韓の人物の絡ませかたなど実に効果的に計算されている.ソウル市内の漢江川岸の桜の木の下で,現地の韓国語学校に通う日本人グループが韓国人の語学学校教師を招いて花見を行う.韓国人講師は母親とカナダへの移民を考えている自分の弟夫妻をその花見に誘う.
日韓の花見の数時間を淡々と描く.はっきりとした物語展開があるわけではない.おずおずとはじまった花見の中でのコミュニケーション,ディスコミュニケーションを通して,各人の抱える個人的な問題とその背景にある日韓の社会的問題が徐々に浮き上がってくる.韓国人と日本人の間にあるわだかまりや遠慮,警戒が,花見の最中に起こる小さな事件を通じて少しずつ和らいでいく様子の表現の細やかさ,微妙さは,日韓関係一般のすぐれた表象となっている.劇の結末でも両者の居心地の悪さは完全にはなくなったりはしない.何とも曖昧な雰囲気の中で,しかしそれでも冒頭よりは確実に前進した相互理解の中で幕は閉じる.最後の台詞はその内容の虚ろさゆえに濃厚な余韻を残す.