彩の国シェイクスピア・シリーズ第18弾
http://www.saf.or.jp/p_calendar/geijyutu/2007/p1004.html
- 作:ウィリアム・シェイクスピア
- 演出:蜷川幸雄
- 翻訳:松岡和子
- 美術:中越司
- 照明:原田保
- 衣装:小峰リリー
- 音響:井上政弘
- 出演:吉田鋼太郎、蒼井優、高橋洋、馬渕英俚可、山口馬木也
- 上演時間:三時間五五分(休憩一五分)
- 劇場:与野 彩の国さいたま芸術劇場
- 評価:☆☆☆☆☆
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充実したキャストと洗煉された視覚表現で、原作の魅力を存分に伝える重厚な舞台だった。
映画での演技の繊細さとニュアンスを思うと、舞台女優としての蒼井優の演技は単調でぎごちなさを感じる部分はあったものの、デズデモーナの無垢で可憐なイメージは彼女にぴったりで、その悲劇性を強調していた。とりわけ終盤、自らの死を予感し、「柳の歌」を歌う場面の彼女が醸し出す悲壮な美しさは印象的だった。
吉田鋼太郎は豊かな表現力で、振り幅の極めて激しいオセローの感情を違和感なく提示する。クールで知的なイアゴーを造型した高橋洋、作品の悲劇的構造を浮きだたせる重要な役柄であるエミリアの演技で存在感を示した馬渕英俚可など、主要な役柄を演じる役者がそれぞれ充実した演技を見せていた。
三方に囲まれた高い壁に穿たれたスリットや窓から、舞台中央に入り込む光線を効果的につかった照明、天井から垂れ下がる寝台を囲む半透明のカーテン、シンメトリックに配置された五つの階段と10メートルほどの高さで舞台を横断する「吊り橋」などによって舞台空間を有効に活用した洗煉された視覚表現もすばらしい。