閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

アメリ

DVDでの観賞.今更という感じはあるが,公開当時は「おしゃれ」な雰囲気で受け入れられていたのが何となく気に入らなくて見に行かなかったのだ.予想したとおりの洒落たセンスの佳篇.
ジュネとマルク・キャロのコンビで作った『デリカテッセン』と『ロスト・チルドレン』は,主人公の異形さと人工的でかつ凝りに凝った映像表現への拘り,およびストーリーのシンプルな美しさが印象強く,どちらも非常に好きな作品だった.『アメリ』では,ジュネのマニアックな拘りはスパイス程度に抑制され,内気な少女のエキセントリックないたずらの数々も茶目っ気のある表現になっている.
アコーディオンをベースにした音楽が素晴らしく,セピア色に処理されたパリの風景の映像の叙情を盛り上げる.十八区および東駅付近の風景が写るだけで,あの濃厚な一年が思い出され涙が出る.
恋人同士がモンマルトルの坂道を自転車で駆け降りる映像の幸福感の表現は見事.