閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

だれが「本」を殺すのか(下)

佐野眞一(新潮文庫,2004年)
だれが「本」を殺すのか〈下〉 (新潮文庫)
評価:☆☆★

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単行本刊行時に一度読んだ本だが,文庫化にあたって「検死編」と題された増補が300頁弱されていることを知り再読.本そのものが魅力をなくす,その役割が相対化されるという事実はともかく,新古書店や貸本店,マンガ喫茶,図書館や,出版社の営業戦略,および取り次ぎ,書店の無気力,流通の問題,など機能不全によって,なしくずしてきに良書が生き延びる環境が悪化していく状況にあることにやるせなさを覚える.ただし「本」の将来にかすかな希望を見いだすような動きを最後に報告している.
図書館については,このところお金がないという理由で,娯楽本さえ図書館で借りている自分が,「本」を殺す作業に加担していることを,恥ずかしく思う.金がないからしかたがないともいえるが,やはり図書館で本を借りるようになってからまさに「消費」するような勢いで読書量が増えているのは事実なのだ.この本も図書館で借りた本だし.