- 製作年度:1995年
- 製作国:フランス
- 上映時間:95分
- 監督:マチュー・カソヴィッツ
- 脚本:マチュー・カソヴィッツ
- 出演:ヴァンサン・カッセル 、ユベール・クンデ 、サイード・タグマウイ 、フランソワ・レヴァンタル 、エドュアルド・モントート
- 評価:☆☆☆☆★
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DVDでの観賞.パリ郊外の移民地区に住むユダヤ人,アラブ人,黒人の三人の若者の二十四時間を,郊外地区の荒廃とそこに住む若者の絶望感,警察への不信感,社会へのやりきれない鬱憤などとともに描写する.皮肉のきいたラストシーンも秀逸.五十階のビルから飛び降りた男についての寓話的フレーズが三回効果的に繰り返される.また主人公の三人の性格設定も丁寧に行われており,リアリティある存在となっている.特に黒人の俳優の演技は繊細で,彼の中にある正義と反逆という二律背反的な要素の共存を巧みに表現していた.
パリの郊外地区,HLMと呼ばれる団地が立ち並ぶ地区の荒廃ぶりは,僕がパリ滞在中に好奇心をかきたてられたものの一つ.北東郊外のBobignyやDefanseの外側,あるいはパリ20区のplace de la feteの周辺に立ち並ぶ団地は,建設年代も新しく,一見,映画で見るようなニューヨークのスラムというより,日本のニュータウンの団地群を連想させる.ただしそこに住むのはほとんどが貧しい移民であり,見た目は立派に見える団地の外見とは裏腹に,至るところに見られる落書き,壊れたままの入り口のドア,平日昼間からたむろする若者たちなどが,貧しい中にある庶民的な叙情とは無縁の荒んだ空気を作り出していた.この作品はモノクロームの映像で,こうした街の「味」のない空虚な空気感を見事に表現している.やや図式的に思える警察権力の描写にかすかな不満をおぼえる.