閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

蜘蛛巣城

舞台は日本の戦国時代に移し,黒沢時代劇特有の様式美を施されてはいるものの,実に『マクベス』らしい『マクベス』というのが見終わった印象.原作のエッセンスを忠実に再現した素直な『マクベス』であるように思った.三船の大げさな所作も様式美の中でうまく昇華されていた.山田五十鈴のおどろおどろしい迫力にひきこまれる.若干あっさりしすぎの感じもあるが,簡潔にすっきりとまとまった脚本で,テンポもいい.こちらの集中力を喚起する白黒のコントラストを生かした幻想的映像も非常に効果的.黒澤の作品では好きなものの一つとなった.