閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

太陽を盗んだ男

DVDでの鑑賞。自分で説明できない衝動にかられて原爆を作ってしまう虚無的な教師をジュリーが演じる。この映画が上演されたのは僕が12歳のころだが、当時人気絶頂だった沢田研二がこの映画の撮影のために『ザ・ベストテン』が撮影現場からの中継放送になったことをなぜか鮮明に覚えている。「原爆を作る男の話」というのもそのときにテレビで聴いて頭に残っていたのだ。
今回は知人の勧めで見たわけだが実に奇妙な味わいの映画だった。前半一時間はやたらと細かく原爆を作り出す過程の描写が続く。後半はは派手なカーチェイスを含むアクション映画。なかなか死なない菅原文太には失笑。池上季実子を久々に見る。艶やかさがあって好きな女優だったのだがこのところみかけない。
当時人気絶頂のアイドルだった沢田研二の主演作がこんなとらえどころのない奇妙な作品とは。虚無的な価値観の持ち主による動機なき劇場型犯罪はその後の80年代、90年代の日本社会を予告しているところもある。