北村薫(文春文庫,1997年)
ISBN:4167586010
評価:☆☆
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10編の短編を収録.藤子F不二雄的な日常SFの類の短編数編を含む.
北村薫的な繊細げで優しげな雰囲気の作品が多い.しかしこの短編集では長編や連作でも鼻につく感じがあったそういった雰囲気に嫌悪感を覚える.
北村薫のむっつりすけべぶりはなぜか僕の神経を逆なでするところがある.女性が語り手となることが多い北村薫の小説だが,その語り口に,口先ではストイックで倫理的な言辞を並べ,表情は穏和でほほえみを絶やさないでいるが,目だけは性欲でぎらぎらと輝いている,そういった中年男性を思い浮かべてしまうのだ.性的な問題にはまともに向き合おうとしないのに,過剰に性的である人物というか.
商品となるという計算と自覚の上でのことであろうが,己の性的願望を露骨に投影したような女性を主人公とする小説を書けるプロ作家としての割り切りはすごいなぁと思う.必ずしも皮肉ではない.