閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

インファナル・アフェアIII 終極無間

http://www.infernal.jp/index_top.shtml

  • 場所:東武練馬 ワーナーマイカル板橋
  • 評価:☆☆☆☆
                                                                                • -

相変わらず客の少ないワーナーマイカル板橋.6人ほどの観客しかいなかった...
三部作の最後の作品.物語の集大成とはなっていたが,複数の時間軸を細切れにして再構成したため,人物関係や話の流れが非常にわかりずらいものになっている.おそらくI,IIを観ていない観客には何が何やらわからなかったのではないだろうか.
マフィアから警察へ潜入した主人公が,警察の世界で出世していく過程でアイデンティティの揺らぎにおびえつつ,自分の正体を知る者たちをどんどん消していく.IIIでは彼の裏の分身的存在であるマフィア潜入の警察官の死の後,ドッペルゲンガーを失ったマフィアのスパイである警察官僚が己の正体暴露の恐怖におびえ神経をすり減らしていく過程を描く.
I,IIのようなマフィア×警察の対立の緊張の中に生まれるドラマティックな展開に乏しい心理劇となっていて,物語のダイナミズムに欠けるのが残念.フラッシュバックの多用も物語を不必要に混乱させているように思える.
しかし登場する俳優の存在感としぶい演技,そしてラストの救いはないけれど長大な三部作を締めくくるにふさわしい叙情的な余韻を残すシークエンスには感銘を覚える.
同じスタッフで作った新作が待ち遠しい.