閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

忠臣連理の鉢植 植木屋

忠臣蔵」の外伝。初演は一七八八年だが、歌舞伎座での上演は48年ぶりで昭和二十年以降の上演記録は五回だけ。二幕構成だが、遊び人風の色男と町娘の恋のやりとりが喜劇調で続くと思うと、いきなりストンとシリアスな展開になり幕切れは血なまぐさい人の死で終わるという奇天烈なお話。各幕とも喜劇調で進んでいって最後だけがいきなり血なまぐさいのだ。第二幕第二場は廻り舞台で背景も変わるのだけれど、わずか数分の場。むちゃくちゃな時代考証、喜劇調と悲劇の唐突な後退、わずか数分の場のために舞台を作るという無駄としか思えないバランスの悪さも含め、いかにも「歌舞伎」ならではの出鱈目な魅力に富んだ作品であると思った。個人的には大いに楽しむ。