通し狂言。女官が登場人物となる忠臣敵討ちの話。勧善懲悪で最後は大円団。
玉三郎演じる尾上のいかにも優等生じみたふるまいがつまらなく感情移入できず。
敵役の局岩藤はコミカルなほど類型的にあくどく卑劣な人間であるはずなのだが、菊五郎の芝居はその「悪さ」の滑稽味、魅力に乏しいように思えた。善悪の二項対立はもっと派手に対照させた方がおもしろみがあるように思った。
筋書きは古典物にしては破綻のない、合理的展開。その整合性に退屈を感じる。菊之助演じるお初の溌剌とした正義感の表現は心地よいけれど、あまりにもまとまった展開に冗長さを感じた。