閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

みんな誰かの愛しい人

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  • 制作年:2004年
  • 製作国:フランス
  • 上映時間:111分
  • 監督:アニエス・ジャウィ
  • 脚本:アニエス・ジャウィ 、ジャン=ピエール・バクリ
  • 音楽:フィリップ・ロンビ
  • 出演:マリルー・ベリ 、ジャン=ピエール・バクリ 、アニエス・ジャウィ 、カイン・ボーヒーザ 、ロラン・グレヴィル
  • 評価:☆☆☆☆★
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今週は二本のフランス映画を借りたのだが,こちらはハネケ作品とは対照的に,ほんわかした暖かいエンディングの映画だった.
原題は「comme une image 一枚の絵のように」.センスのない邦題で損をしているように思う.
さえない三流作家とやはり三流どころの声楽教師の夫妻,その三流作家の作品に注目し彼をバックアップする有名作家,有名作家の前妻の子供で声楽のレッスンにかよう太った若い女性,その若い女性の恋人の貧乏フリージャーナリストを中心に物語は進む.ロメールの作品を思わせる,軽妙なリズムでやりとりされる極めて自然なのディアローグが非常によくできている.フランスのちょっとスノッブな階級の家庭の日常の雰囲気がよく伝わってくる.会話の自然な流れに乗っかっていると,洒落たおちで
こちらの期待を巧みにはぐらかす.「驚き」の配置も非常にうまい.
中心となる人物たちはそれぞれコンプレックスやフラストレーションを抱えていて,皆どこか屈折してひねくれたところを持っている.かなり身勝手な振舞いも多いのだが,自分の卑小さをあさましく正当化してごまかさず,他人を傷つけたり,他人から傷つけられたりしつつも,非常に率直に素朴にふるまうところが感じがいい.