原作:太宰治
構成・演出:倉迫康史 (Ort-d.d)
美術:伊藤雅子
照明:木藤歩 (balance,inc)
サウンドデザイン:棚川寛子
衣裳・ヘアメイク:ROCCA WORKS
衣裳制作:梶山知子 野村佳世
宣伝美術:山本ゆうか(ten ade) ROCCA WORKS
スチール:萩原靖
舞台監督:弘光哲也
出演:市川梢/岡田宗介/寺内亜矢子(ク・ナウカ)
三橋麻子(Ort-d.d)/村上哲也/山田宏平(山の手事情社)
- 劇場:西巣鴨 にしすがも創造舎特設劇場
- 評価:☆☆☆
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衣裳と舞台美術と照明,そして余興企画のクラブ斜陽は☆5つ.ちらしの強ばったひな人形のような写真もこちらの想像力を刺激する.
太宰治の戯曲が上演されるのを見るのは今回がはじめて.今回の上演はオリジナルのテクストそのままではなく,『冬の花火』『春の枯葉』はもともと別の作品だが,この二作に小説『おさん』を加えて,一編の作品のように再構成した翻案である.
余興企画のクラブ斜陽は,戦後の場末のキャバレーのようなちょっと隠微で幻想的な雰囲気.踊り子と給仕の衣裳が可愛らしい.ちょっとしたレビューも見ることが出きる.戦後太宰の世界が巧みに演出されていて,観劇への期待感を盛り上げる.
照明も多彩かつ饒舌で,舞台での表現での隠喩的役割を果たしていた.舞台美術も独創的.体育館を利用した舞台と客席空間は,クラブ斜陽のサロンと舞台でもある.客席と平行に三本の廊下のような通路が設置され,ところどころに正方形の「踊り場」がある.両端にはクラブのラウンジでソファが設置されいる.舞台奥正面の横四メートル,縦八メートルぐらいの障子をいくつか組み合わせて作った縦長のオブジェが印象的.
肝心の「本体」だが,再構成されることで,原作が非常にわかりにくく,独りよがりな表現になってしまっているように僕には思えた.三〇分ほど熟睡.余興のクラブ斜陽ほどには面白くない.