閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

プロデューサーズ

http://www.sonypictures.jp/movies/theproducers/site/

製作年度:2005年
製作国:アメリカ
上映時間:134分
監督:スーザン・ストローマン
脚本:メル・ブルックス 、トーマス・ミーハン
出演:ネイサン・レインマシュー・ブロデリックユマ・サーマンウィル・フェレルロジャー・バート
(allcinema ONLINE)

舞台版を昨年夏に新宿厚生年金ホールで観ている.いかにもブロードウェイ・ミュージカルといった感じの曲の心地よさと躍動感と,黒い笑いをちりばめた知的な劇的仕掛けを心ゆくまで味わうことのできた楽しい舞台だった.空席が若干目立つ公演だったので観客の温度が低めだったのをとても残念に思ったことを覚えている.
舞台版を大いに楽しんでいたので,映画版『プロデューサーズ』には大いに期待していたのだが,こちらはキャスティングのすばらしさや舞台版の尊重姿勢にもかかわらず傑作とは言い難い出来.舞台の雰囲気はよく伝わっているのだが,舞台特有の表現の映画的な変換が控えめすぎて,ギャグの切れが今ひとつ鈍い.
ひとつのシーンが終わり,次のシーンに移る幕の転換の場面は舞台のほうでは興奮の高まりとそのあとの沈静のコントラストを計算して作っているのだが,映画版ではこの転換の場面に芸がない.前半部,劇中劇『ヒトラーの春』の上演まではこちらの関心を勢いよく引っ張るが,後半は平板でクライマックスのシーンを除き単調に陥ってしまった感あり.
しかし前半のミュージカル・シーンの壮大なばかばかしさは圧巻で,シンプルで覚えやすいメロディの美しさもあいまって,そのばかばかしさゆえに涙がでるほど感動してしまう.役者はさすがにみな達者.中でもゲイの演出家のコンビの表情芸はしびれるほどすばらしい.


劇中劇の部分以外はミュージカル仕立てでないメル・ブルックス版もいずれ観てみたい.

平日昼のユナイテッドシネマとしまえんは相変わらずがら空きで閑散としている.