閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ブギーナイツ

先日観たtptの舞台,『皆に伝えよ!ソイレント・グリーンは人肉だと』に霊感を与えた二つの映画作品(もう一本は題名が示すようにリチャード・フライシャーの『ソイレント・グリーン』)のうちの一つ.
映画の時代設定は1970年代後半から1980年代前半のアメリカ西海岸のポルノ映画業界.常人離れした巨根と性的能力でポルノ映画界のスターとなる青年の栄光と没落を軸に,当時のサブカルチャー的な風俗を描き出す.ベストヒットUSAやMTV世代には懐かしいアメリカのポップミュージックが多数,効果的に使用されている.
ポルノ映画業界が舞台なだけに,人間の欲望のナサケナサをあからさまに描く思わず失笑を漏らしてしまうようなギャグシーンも多いが,人物の性格設定や物語は教養小説的な青春映画の定型(素朴な主人公が社会の中で成功の喜びを知り,その成功の中の慢心によって身を滅ぼし,墜ちきったところで再生へと向かう)をなぞったもので,鑑賞後の感覚は清々しい.