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単行本は1992年文藝春秋から出版される.無着成恭と『山びこ学校』についてはこれまで断片的にではあるがかなりの量の情報に接している.本書で象徴的にとりあげられている「母の死とその後」の作文の内容にも記憶がある.戦後史に深い痕跡を残す「山びこ学校」というセンセーショナルな現象の同時代の受容のされかたを詳しく検証したあとで,「山びこ学校」に参加した40名あまりの生徒のその後を丹念に追うルポルタージュ.彼らの歴史の多くは高度成長前の日本社会の貧しく厳しい現実を如実に反映した苦難に満ちている.それらはあまりにこちらの想定する暗さと重なってしまうが故に苦く重い.