閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ワクトゥ・バトゥ 百代の過客

ク・ナウカ シアターカンパニー主催公演
Waktu Batu #3

  • Teater Garasi テアトル・ガラシ(インドネシア)
  • 演出:ユディ・タジュディン Yudi Ahmad Tajudin
  • 照明:大迫浩二,吉村俊弘
  • 出演:Bahrul Ulum, Citra Pratiwi, Erythrina Baskorowati, 横須賀智美(流山児★事務所)
  • 上演時間:80分
  • 劇場:森下 森下スタジオCスタジオ
  • 評価:☆☆☆★
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ク・ナウカ宮城聰がプロデュースするインドネシアの前衛劇団の公演.六月にはテアトル・ガラシとク・ナウカの共同公演が予定されている.インドネシア文化というと影絵芝居やガムラン音楽くらいしか思い浮かばないが,一万以上の島嶼からなり三〇〇以上の言語,二億以上の人口のインドネシアの文化はきわめて重層的な多様性を有するようだ.
今回の演目はインドネシア神話のエピソードをベースに,伝統舞踊や音楽の要素を部分的に取り入れつつ,舞踊,音楽,映像,朗唱などの多様な表現がコラージュのような形で構成されている.
前世紀末に30年にわたる独裁制が崩壊し,解放された多様性の中でのアイデンティティ探索が劇団の主題だとアフタートークで演出家が語っていたが,今日の舞台はヒンズー的アニミズムの混沌とした世界観が反映されているような,ある意味こちらのステレオタイプに沿った表現であった.舞台を水平方向に複数の役者が横切る動きの反復や舞踊的表現などに面白いものはあったけれど,全体としてはエネルギーは感じるけれど荒削りで頭でっかちなところが目立つ舞台だった.論理性に乏しい構成であまりにも雑然とした感じで,最後の30分ほどは若干飽きてしまいしばしば意識を失いそうになる.
驚異的に可愛らしい顔立ちで表情が魅力的な女優が二人いて,その女優にばかり目がいってしまう.