閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

嗤う伊右衛門

京極夏彦(角川文庫,2001年)
嗤う伊右衛門 (角川文庫)
評価:☆☆☆☆★

                                                              • -

はじめて読んだ京極作品.四谷怪談ものだが,意志の強くて明晰なお岩をはじめ,伊右衛門の徹底したニヒリズム,悪役伊藤喜兵衛の極悪ぶりなど,登場人物の性格設定がきわめてユニークなうえ,細部まで丁寧に描写されている.人物設定を効果的に利用して,きわめて写実的でドラマティックな「お岩の悲劇」の創造に成功している.傑作.