- 作:鶴屋南北
- 改訂:小池章太郎
- 演出:鈴木龍男
- 装置:高木康夫
- 照明:寺田義雄
- 音楽:杵屋佐之忠
- 衣裳:伊藤静夫
- 出演:嵐圭史,藤川矢之輔,河原崎國太郎,山崎竜之介,嵐広也,山崎杏佳,中嶋宏幸,中村梅雀
- 評価:☆☆☆☆★
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先週演舞場で観た『夏祭』の書替え狂言で,登場人物の設定やいくつかの場面が,場所を江戸深川に移した上で,そのままなぞられたり,あるいはひねりを加えた上でなぞられたりしている.様式感と写実がほどよく折衷された舞台美術が印象的である.美術が前進座の演技スタイルの表象となっているような感じだ.
色悪の団七を演じるのは嵐圭史.悪くはないけれど,今回は任侠肌の善人である徳兵衛を演じた梅雀と役柄を入れ替えたバージョンも観てみたい気がする.梅雀は前進座の役者の中では飛び抜けた存在感があるように僕には思える.梅雀が登場すると舞台がぱっと華やぐ.団七娘を演じた子役が可愛らしくてうまい.優男,釣り船の三吉を演じた嵐広也も短い出番ながら丁寧な役作りで印象に残る.女形,山崎杏佳は優しげで頼りなげな風貌に味がある.
展開はスピード感あって変化に富む.各人物の人物造型が明確で,密度の濃いドラマが提示されていた.要所要所にコミカルなやりとりの場面を効果的に配置する.
二幕目第二場入谷田圃の場では,本水の雨を降らせての立ち回りのスペクタクルは見応えあり.大詰幕切れの立ち回りの場のリズムが若干もたついているように思えたが,全般的には娯楽性豊富な非常に満足度の高い舞台だった.