http://www2.odn.ne.jp/shkspr-thr/
シェイクスピア・シアター
- 作:ウィリアム・シェイクスピア
- 訳:小田島雄志
- 演出:出口典雄
- 照明:尾村美明,秋草清美
- 衣裳:上地洋子,小野真理子
- 音楽:福島一幸
- 出演:松木良方(追放された公爵),平澤智之(オーランドー),松本洋平(道化),島小百合(ロザリンド),住川佳寿子(シーリア),茂木孝允(ジェークイズ)
- 上演時間:2時間30分(休憩10分含む)
- 劇場:六本木 俳優座劇場
- 評価:☆☆☆☆
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
平板な抑揚の台詞回しの様式感が心地よい.この独自な台詞術は,テクストの言葉を明瞭に伝えるだけでなく,舞台の抽象度を高める効果もあるように思う.語り手である役者の存在を透明化し,テクストそのものが浮かび上がってくるような印象を聞き手に与える.言葉を明瞭に伝えるといっても劇団四季風の発声とはかなり雰囲気が異なる.役者のこざかしい作為に枷をはめることによって,テクストの内容に明確な輪郭が与えられる.役者にとってはかなり強力な枷ではあるものの,よい役者はその枷にもかかわらず個性的な存在感を示す術を持つ.オーランドーを演じる平澤智之の姿と発声の美しさは,この劇団の宝であるように思った.男装の令嬢を演じ,実質的な主役であるロザリンドを演じた島小百合も好演.
舞台に多人数の人物がいるときの科白のない人物のポーズや各人物のシンメトリックな配置の絵画的な美しさも印象的な舞台だった.「All the world's a stage, and alle the men and women merely players」という有名な科白を与えられたジェークイズのひねくれぶりは,この幸福感に満ちた芝居に陰影を与える重要な要素だが,今日の演出ではジェークイズの役割があまり強調されていなかったことに不満を覚える.
音楽はこの劇団の弱点だと思う.エレクトーンの伴奏の音楽は安っぽく情緒にかける.NHKの「みんなのうた」のような童謡風メロディーもいま一つ心に残らない.
客席は両サイドは空席のままで,全体では半分ほどの入りと寂しい.