http://www.theaterx.jp/08/081123.shtml
- 作:マリヴォー
- 訳:鈴木康司
- 演出:守輪咲良
- 美術:小石新八
- 照明:堀井俊和(せんたあゐ組)
- 音響:寿島宅弥
- 衣装:荒井真弓(VERGINIA WOLF)
- 出演:天崎温子、五森大輔、創間元哉、幹本彩乃、桑原洋一、志賀由美、三石三咲、守輪咲良、岩山暁臣
- 劇場:両国 シアターΧ
- 評価:☆☆
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演出の守輪咲良は1990年代に、櫻花舎という団体を主宰し、渋谷ジャンジャンでマリヴォーの作品の連続公演を行っている。この櫻花舎のマリヴォーのシリーズには僕はよく通っていた。この公演は回を重ねるごとによくなった。演出や役者の演技が熟練し、型が定まってきたのだ。ところが公演の質が安定しはじめたところで、このマリヴォーのシリーズは終了してしまった。マリヴォーの作品はイタリア人劇団が上演していたので、コメディア・デラルテ風の喜劇的人物も登場するのだが、こうした定型も役者が自分のものにしつつあった時期だったし、優雅で遊戯的なマリヴォーの台詞の軽やかなやりとりもさまになってきたところだったので、もったいないような気がした。
シアターΧでのマリヴォーの上演は2、3年前から再開していたそうだが、僕が守輪咲良演出作品を見るのは今回10年ぶりぐらいだった。10年前にかなりの水準に達していた彼女の演出によるマリヴォー劇を思うと、今回の公演はかなり程度が低いように思った。
台詞のリズムが悪い。役者にちゃんと台詞がはいっていなかったせいか、奇妙な間がやたらあった。侍女の役を三人で演じるという演出的なしかけは、展開にまったく寄与するところがない。台詞のない下僕が後ろから恋のやりとりを覗き込むというしかけもしかり。何よりも演出家自身が男装して演じた下僕アルルカンが、見た目、演技ともに痛々しく感じられ、直視するのがしんどかった。