円・こどもステージ No.27
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- 作:別役実
- 演出:小森美巳
- 音楽:小森昭宏
- 装置:皿田圭作
- 照明:皿田圭作、古宮俊昭
- 効果:斉藤美佐男
- 衣装:西原梨恵
- 振付:振付稼業、air:man
- 出演:高橋理恵子、高林由紀子、石住昭彦、石原由宇、吉見一豊
- 劇場:両国 シアターΧ
- 上演時間:75分
- 評価:☆☆☆☆★
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別役実による『赤ずきん』の翻案。赤ずきん、狼の二人の登場人物だけを原作から借りているに過ぎず、実質的には別役のオリジナル作品である。狼は三匹だし、狼以外にウサギも3匹でてくる。これに加え、魔法使い、森番、案内人、覚え男に忘れ女といった原作にない登場人物が登場する。
上演時間は80分弱。
どの登場人物もエキセントリックで、お話の展開も荒唐無稽でナンセンスな笑いでいっぱいの舞台だった。物語の内容はちょっと要約しがたい、むちゃくちゃなはなしだ。
幕開けは夕暮れの森の中。片目の森番が最初に登場する。彼は森の魔女に恋をしているのだけれど、ラブレターを出しても魔女をそれをサラダにして食べてしまうので、彼の思いは伝わらない。三匹のウサギにそそのかされて、森番は何千通目かのラブレターを渡そうとする。狼たちは誰かをくすぐりたくてたまらないのだが、ここしばらくくすぐる相手を見つけられず元気がない。覚え男と忘れ女は緑の服装をしていて、どうやら他の人物には彼らの姿は見えないらしい。あとでこの二人は赤ずきんの父母であることが判明する。赤ずきんは無能な案内人のせいで森の中で道に迷ってしまったが、そのことをなぜか喜んでいる。彼女には両親の記憶がない。また彼女は狼にくすぐられても、まったくくすぐったがらない。魔法使いは何回か魔法を行うがそれはことごとく失敗する。
『不思議な国のアリス』と『真夏の夜の夢』を足して割ったような雰囲気の芝居だった。森の夕暮れとともにはじまった狂騒的で夢のなかの出来事のようにでたらめな世界は、朝の訪れとともに秩序をとりもどす。
赤ずきん役は高橋理恵子さま。あの美貌とはいえ、アラフォーの赤ずきんはちょっと厳しいのでは。。。と思っていたのだけれど、とんでもない。むちゃくちゃ可愛らしい赤ずきんだった。
ミュージカル仕立ての芝居でたくさんの歌が使われていたが、役者の歌唱力が全般にあまり高くなかったのが残念だった。しかし芝居自体はとても面白かったし、前方の桟敷席に座るこどもたちもとてもよく反応していて、笑い声の絶えない楽しい舞台だった。役者の演技にもそうした客席の反応に呼応するようなのりのよさを感じた。カーテン・コールのあとは、役者が客席に降りてきて退場し、子供たちは大よろこびしていた。
大人の観客である僕も大いに満足できる舞台だった。