閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

『カガクするココロ』『北限の猿』

青年団
http://www.seinendan.org/jpn/info/info090810.html

『カガクするココロ』
兵藤公美 島田曜蔵 田原礼子 村井まどか 安倍健太郎 荻野友里 河村竜也 小林亮子 二反田幸平 堀 夏子 村田牧子 海津 忠 木引優子 桜町 元 佐山和泉 鄭 亜美

  • 評価:☆☆☆★

『北限の猿』
島田曜蔵 工藤倫子 田原礼子 村井まどか 山本雅幸 河村竜也 後藤麻美 小林亮子 長野 海 二反田幸平 堀 夏子 山本裕子 海津 忠 佐山和泉 中村真生

  • 評価:☆☆☆☆
                                                            • -

猿を人工的に進化させる研究のために、いろいろな分野の研究者が集まるとある研究所のロビーが舞台。「北限の猿」は「カガクするココロ」の十年後と設定されているようだ。一昨年秋に見たベルギーの劇団による「森の奥」はこの二篇を土台として新たに制作された作品だった。今回の二本立て公演で「森の奥」の場面も思い出した。この三つの作品はそれぞれがパラレルワールドのように部分的に場面が重なり合うが、主題の重点は各作品でずれがある。

最初に「カガクするココロ」を見た。寝不足だったためか前半落ちてしまった。ごく短い時間だったと思ったのだけれど、展開から置き去りにされてしまった。一貫した物語があるわけでなく、研究所のロビーの大机の周りに人が入れ替わり立ち替わりやってきてだらだらと雑談するだけなのだが。結局、作品を捉えることができないまま芝居が終わってしまった。たれ目の荻野有里さんが可愛いなあとぼーっと眺めていただけ。高校生を演じた木引優子さんも相変わらずよい雰囲気だ。

「北限の猿」のほうが作品としてはよくできているような気がした。こちらは眠らなかった。ボノボや猿の生態と人間関係のアナロジーが話の展開のなかでうまく組み込まれていた。面白かったけれども後味はよくない。佐山和泉と中村真生の二人による最後の場面は痛々しくてほろりとなったけれど。平田オリザ作品の女性の扱いにはかなり根深いミソジニーの傾向が感じ取られるような気がする。理系の研究所という設定の先入観ゆえかもしれないが、会話のやりとりが硬質、人工的で、どこかそらぞらしく感じられた。