閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

オカリナ Jack & Betty -わたしたちののぞむものは-

DRY BONES 第四回公演

  • 作・演出:竹内銃太郎
  • 美術:丑田拓麻
  • 舞台監督:宮澤健太郎
  • 照明:藤田佳子
  • 音響:山松はるな
  • 映像:加盟絵梨佳
  • 出演:丑田拓麻、桂春日、川田宏太、堀暁子、砂川奈穂、大久保岳、吉野未紀、藤原優彦、北村侑也、山津恵理子
  • 上演時間:1時間45分
  • 劇場:心斎橋 ウイングフィールド
  • 評価:☆☆☆☆
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竹内銃一郎の作・演出「オカリナ Jack & Betty -わたしたちののぞむものは-」の公演が心斎橋のウイングフィールドであったので見に行った。
http://drybones.blog59.fc2.com/
上演団体のDRY BONESは、竹内が教える近畿大学の学生を中心とする劇団だとのこと。竹内銃一郎は長いキャリアを持つ演劇人だが、私が彼の作品の舞台を見るのが今回が初めてだった。面白い作品だった。脚本がとてもよくできている。

バラバラ殺人事件が決行された2010年の夏の一日、その数日後、事件捜査中の警察署内、そして10年前の学校の教室の三つの時間、空間が重なり合う。生きることに付随するどうしようもなさ、やりきれなさへの哀感を滑稽かつ悲壮に描く作品で、「ワーニャ伯父さん」のテクストが効果的に引用されている。
若い役者たちの演技はあまりに記号的できっちり演じすぎていたがために、戯曲の言葉が含み持つニュアンスが消え、平板な芝居に陥ってはいたものの、台詞のリズムはよく、言葉のひとつひとつは丁寧に伝えられていた。もっと経験を積んだうまい役者が演じるともっと奥行き、深みの感じられる舞台になったに違いない。

感想は記していないが昨夜見た神戸の劇団の芝居や今日の芝居を見ると、自分は東京で普段上手な役者が演じる舞台のを見るのに慣れてしまっているのだなと思う。関西で見た三劇団、もちろん上手で存在感のある役者もいたけれど、正直なところ、役者による技術的なばらつきが激しい。今日の演出を見ると、あまりうまいとは言えない役者を使ってどのように芝居を組み立てていくかについて細かい配慮がなされているように感じた。