チェルフィッチュ
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- 作・演出:岡田利規
- 美術:トラフ建築設計事務所(鈴野浩一、禿真哉)
- 照明:大平智己
- 音楽:小泉篤宏(サンガツ)
- 音響:牛川紀政
- 出演:山縣太一、山崎ルキノ、下西啓正、足立智充、安藤真理、伊東沙保
- 劇場:六本木 スーパーデラックス
- 上演時間:1時間40分(休憩15分)
- 満足度:☆☆☆☆
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舞台は平間で、客席は舞台を挟んで対面式にひな壇状に設置されている。
美術はグレーの薄いじゅうたんの上にテーブルと椅子の上の部分だけが突き出したものが数組。地面からテーブルと椅子がキノコのように生えているような感じである。
控えめであるとは家音楽、美術とも昨日見た『屋上庭園/動員挿話』より使われているのだけれど、あっさりとしためりはりのない独特の表現ゆえに、『屋上庭園/動員挿話』よりはるかに簡素で薄味の舞台に感じられる。どちらも舞台美術や音楽の使用は簡素なのだけれども、チェルフィッチュの今日の舞台を観ると、昨日の『屋上庭園/動員挿話』がものすごく暑苦しい舞台であったように思える。
たるくて眠い1時間40分。
休憩15分はドリンク用か。
平日朝八時のファミレスの何分間かの情景が執拗に何回も繰返し「報告」されるミニマリズム演劇。あのだらだらとした、誰に対して語りかけているのか曖昧なスタイルで、報告は続く。これまでの作品に較べると役者のけいれん的な動きは抑制されていた。なぜだろう。
退屈でたるい。しかしそのたるさはもちろん計算されたものに違いない。倦怠に満ちた繰返しの中で、観客である僕もその倦怠の泥沼にずぶずぶとはまりこんでしまう。方法は実験的だけれども、描き出される内容はとてもシンプルで普遍的なものだ。都会生活の孤独、オートマッチックに過ぎて行く日常のなかで、空白の時間を確保することの意義。
表現方法は演劇的であるけれども、そのテクストの内容およびその表現の発想は文学的、テクスト的であるように僕には思える。
たるくて退屈で眠くなるが、つまらない作品ではない。チェルフィッチュの作品はその作品について語りたくなるような欲望を刺激する分かりやすさと難解さをバランスよく内包している。
でも僕はこの作品の持つナイーブさ、傷つきやすさ・脆さの肯定に共感したくないように思った。