閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

解脱衣楓累(げだつのきぬもみじがさね)

前進座 錦秋歌舞伎公演
http://www.zenshinza.com/stage_guide/kasane/kasane_index.html

  • 作:鶴屋南北
  • 改訂:小池章太郎
  • 演出:中橋耕史
  • 装置:高木康夫
  • 聡明:森脇清治
  • 音楽:杵屋佐之忠
  • 衣装:伊藤静
  • 出演:嵐圭史、河原崎國太郎、藤川矢之輔、瀬川菊之丞、嵐広也
  • 上演時間:3時間25分(休憩15分×2)
  • 劇場:浅草公会堂
  • 評価:☆☆☆☆★
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鶴屋南北の陰惨なドラマの醍醐味をたっぷり味わうことができる舞台だった。大いに満足する。
江戸時代には上演されないまま埋もれていた作品だが、24年前に前進座によって改訂、初上演された。今回は17年ぶり、3回目の公演だという。下総の国にいた醜婦の累(かさね)が嫉妬深さのため夫与右衛門に殺され、その怨念が一族にたたったという「累」の伝説に、妻殺しの悪党坊主である空月の物語(空月の妻、お吉は累の姉という設定になっている)、そして累とお吉の兄、金五郎とその妻、小三の三組の男女の愛と怨念のドラマが絡み合う。家法の短刀と血縁が人物を結びつける。
空月の徹底した悪党ぶりと空月に殺されたお吉の執拗でグロテスクな執念がドラマの主軸を形作る。殺した女の生首をお守りのように携えるとか、累の目がつぶれ醜い形相へ変化してしまうといったグロテスクな悪趣味が満載。
大詰の本水を使った立ち回りの迫力も素晴らしい。