閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

レクイエム

篠田節子(文春文庫,2002年)
レクイエム (文春文庫)
評価:☆☆☆

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短編集.傾向の異なる作品ばかり集めているが,篠田節子特有の幻想味に乏しい二編,「帰還兵の休日」「コンクリートの巣」を特に面白く読む.後者は現代都市社会の家族のいびつさや危うさをぞっとするようなリアリズムで描いた作品.彼女の短編の作品は破綻がなく完成度が高い.ただアクが強くて破綻があっても,とらえどころのない奇妙な読後感をもたらす長編のほうが吸引力は強い.