2005-02-26 秋の花 書籍 北村薫(創元推理文庫、1997年) 評価:☆☆☆☆ - 北村薫が好んで描くのはある種の理想の女性像である。清楚で美しく知的で好奇心旺盛で凛とした芯があるさわやかな女性。高野文子の表紙のイラストは北村薫の小説の毅然とした「清潔」志向をうまく表現しているように思える。 謎に包まれた一人の少女の死の真相は、彼女とその周囲の人間の尊厳を傷つけるような陰惨なものではなかった。ただ人間の生の脆さ、危うさに、おろおろととまどうしかない切ない思いがあった。