- 評価：☆☆☆☆
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バレエ教室に通う仲のよい女子高生二人組の日常を、三角関係の恋愛とからめて、叙情豊かに丁寧に描いた秀作。作品となる背景となるが、映像の中では説明されない小さなエピソードの提示の仕方がうまく、物語を奥行き深いものにしている。映像にかぶさるピアノと室内楽の音楽の使い方もうまい。
三角関係の中心なる男の子の演技の演出は好みではないけれど、鈴木杏は相変わらずうまい。物語の流れを十分に咀嚼した上で工夫された演技には、彼女の役者としての頭のよさを感じさせる。鼻筋美女の蒼井優はこの映画ではその魅力全開という感じ。特に最後のバレエシーンの美しさには息をのむ。ここまで情感豊かに美しく撮られるとまさに女優冥利に尽きるという感じではないだろうか。
いかにもといったかんじの岩井風の小道具の使い方は時折鼻につくが、映像表現は詩的で絵画的。日常的風景が画面の中では喚起力の強い叙情的表現となっている。岩井監督独自のグロテスクであざとい表現がないのもよかった。ほんわかした幸福感あふれる作品。
