閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

まとまったお金の唄

1970年,大坂万博の興奮にまきこまれたかのような,万博会場のすぐそばに住む一家のエキセントリックな狂躁ぶりを描くナンセンス喜劇.大阪弁の響きのおかしさを最大限利用した台詞,役者の個性を生かし,小・中学生にも大いに受けそうな直截簡明なギャグの数々が混沌とした物語の中でうまくブレンドされていた.ギャグの密度が濃い.変化に富んだ展開で2時間20分退屈することがない.
個性的な役者陣ばかりだが,特に阿部サダヲの喜劇的演技の破壊力に圧倒される.
「まとまったお金」は今の僕にも切実に欲しいもの.後味は爽やかながら,最後の場面でせつないようなやりきれないような気分になってしまった.