閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

前進座五月公演@国立劇場

http://www.zenshinza.com/stage_guide/kokuritsu_2006/annai/nittei.htm
通し狂言で鶴屋南北の『謎帯一寸徳兵衛』三幕六場と黙阿弥作の『魚屋宗五郎』魚屋内の場.『謎帯』の序幕と二幕目の間に,座頭の中村梅之助前進座七五周年記念の口上が入る.三階席最後列を除きほぼ満員の盛況.
前進座公演は松竹歌舞伎より観客層が限定されているように思えるのだが,その演劇的魅力は松竹歌舞伎に決して劣るものではないと僕は思う.女形の層は薄いように思うけれど,役者は総じて上手だし,中村梅雀のような芸への誠実さと役者としての愛嬌を備えた素晴らしい役者もいる.
松竹歌舞伎のような非日常的な華やかさには欠けるが,前進座公演ではその代わり実の詰まった「ドラマ」としての歌舞伎を味わうことができる.歌舞伎だけではなく新劇の公演も含め,前進座の魅力をもっと幅広い人に知ってもらいたい.