- 作者: 酒井順子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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評価:☆☆☆☆★
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酒井節に格好の主題。美人を19のタイプに分類し、その自意識を意地悪にほじくり返す筆致は実に滑らかで快調。不美人に対する容赦ない率直なことばの数々に大いに共感してしまう。井上章一の古典的名著「美人論」以来、僕はこの類の書籍はかなり読んでいるほうだと思うが、今の日本で「美人であること」の意味についてこれほど徹底的に暴き出した著述はこれまで存在しなかったのではないだろうか?
酒井順子は美人の等級として、
十人が見たら十人が「美人だ」と思う:”ザ・美人”
十人中七人から九人が美人と思う:”とはいえ美人”
十人中二人から六人程度が美人と思う:”よく見りゃ美人”
十人中0人から一人が美人と思う:”マニア向け美人”
を定める。
自身もその範疇に含める”よく見りゃ美人”についての記述が若干厳しすぎるように思えるのは、他の箇所で不美人をさんざん嘲弄的表現で侮辱していることの罪悪感からだろうか。個人的には酒井順子は”よく見りゃ美人”であってもかなり好きな顔立ちだ。
割合的には”ザ・美人”は100人に一人、”とはいえ美人”は10人に一人という感じだと僕は思う。
巻末企画として「「日本海側美人一県おき説」をめぐる考察」と称して、青森から金沢まで移動して美人の割合の現地調査を行っている。調査サンプル数に問題があるとはいえ、この俗説とほぼ一致する結果が出ている。美人で名高い秋田県の美人率は酒井の調査では突出していた。僕が高校の時に聞いてこれまで信じていた、ド左翼の社会科の先生の言では『秋田美人は、東北の貧しさゆえに、赤線などに売られた女性が多かったことから出てきた俗説」とのことだったが、やっぱり美人は多かったのだ。
すごくくだらない調査だ。でも僕もかなうことならいつの日か美人観測を目的とした旅に出てみたいものだ。