文学座 アトリエの会
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- 作:ジョン・パトリック・シャンリィ
- 訳:鈴木小百合、井澤真知子
- 美術・衣装:朝倉摂
- 照明:沢田祐二
- 出演:清水明彦、渋谷はるか、山本道子、寺田路恵
- 上演時間:1時間50分
- 劇場:吉祥時シアター
- 評価:☆☆☆☆
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カトリックの修道院付属寄宿舎学校が舞台。学校付礼拝堂の神父が男の子の生徒に性的ないたずらをしたのではないか、という疑いを学校長のシスターは持つ。漠然とした状況証拠しかないのにもかかわらず、神父が罪を犯したという疑いへの確信は校長の中で次第に強固なものになっていく。神父はその疑いをはねつける。学校内で唯一の黒人であり、友人がいない少年への神父の関わりには何か事情がありそうだ。しかし神父の弁明にもかかわらず、校長の疑いはますます強くなっていく。校長と神父の間にたち、二人の「真実」の中で揺れ動くする若いシスターの姿は、二人の「闘争」を見守る観客の視点を肩代わりするものだ。そして疑いのあいまいさをそのまま受け入れ、とりあえずの安定した現状を維持することを優先させることを強く望む少年の母親の現実的視点は、神父と校長の相克を相対化する。しかし校長は「業」にとりつかれたように、その疑いを強化していく。
緻密に構成されたせりふのやりとりの面白さに引き込まれる。また抑制された表現で、この真実をめぐる応酬を息詰まるような緊迫感のある空気の中で再現した役者の演技力も非常に見ごたえがあった。