『出番を待ちながら』 Waiting in The Wings
作:ノエル・カワード
訳:高橋知伽江
演出:末木利文
美術:石井みつる 照明:森脇清治 音響:小山田昭
音楽:古賀義弥 衣装:加納豊美
ヘアメイク:馮啓孝 振付:仲田幸代
舞台監督:小笠原 響 制作:松井伸子
製作:木山 潔出演:川口敦子/新井 純/加藤土代子/北村昌子/高山真樹
大方斐紗子/堀内美希/荘司 肇/吉野悠我/水野ゆふ
磯貝 誠/木村万里/千葉綾乃/宮内宏道/木村愛子
- 劇場:新宿 全労災ホール/スペース・ゼロ
- 上演時間:2時間30分(休憩15分)
- 評価:☆☆☆☆★
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連鎖反応するように連なるせりふのリズムが心地よい。ストレートの新劇スタイル、せりふや動きが誇張された、やたらとめりはりのよい演技演出の芝居だった。
ノエル・カワードの芝居を見るのはこれが初めてだった。英米演劇の研究者の喜志哲雄氏がこの劇作家を非常に高く評価していて、一度舞台を見てみたかった。
元女優、それも二流、三流どころの女優がリタイアしたあと余生を過ごす公的老人ホームが舞台の作品。この老人ホームの一年が連作小説のようにいくつかのエピソードを連ねることで描かれる。
それなりの華やかさがあった芸能生活の記憶を抱えつつ、世間から忘れられひっそりと老人ホームに身を寄せる、老女優の余生は必ずしもぱパセティックに描かれているわけではない。むしろ軽やかな洗練された会話のやりとりは喜劇的雰囲気のなかで提示されている。しかしその軽やかの中に、ひっそりとではあるものの確実に漂う不安、さびしさ、くやしさの表現がこちらの胸を打つ。
休憩15分を含み、2時間30分の舞台、まったく退屈を感じるところのなかった。
しみじみとよい舞台。カワードの舞台はこれからも機会があれば見てみようと思った。別のスタイルの演出でも見てみたい。今日は今日でよかったのだけれど。
客席はやっぱり老人が多い。それも男老人客が目立つ客席だった。