閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ジンジャーに乗って

快快(faifai)
http://www.faifai.tv/ginger.html

  • 作:シノダ+北川
  • 演出:篠田千明
  • 監修:北川陽子
  • 出演:天野史朗/篠田千明/大道寺梨乃/中林舞/野上絹代/山崎皓司/池野拓哉
  • 舞台監督:佐藤恵
  • 美術:佐々木文美
  • 照明:森友樹
  • 音響:山峰潤也
  • 衣装:藤谷香子
  • 振付:野上絹代
  • 宣伝美術:天野史朗
  • 写真:加藤和也
  • 制作:山本ゆい
  • 企画:こーじa.k.a山崎皓司
  • 劇場:王子小劇場
  • 上演時間:一時間
  • 評価:☆☆☆☆

鉄パイプとタイヤを組み合わせて作ったジャングル・ジム、あるいは動物園のサル山の遊具のような舞台美術。実際にサル山のサルのように演者たちは、この舞台装置を立体的に移動する。
本編の上演時間は正味1時間ほどだが、開演のかなり前から演者たちは舞台に登場し、準備運動をしていたり、雑談したり、知り合いの客に手を振ったりしている。また終演後には飲み物(有料100円)が出て、パイ投げ、料理のパフォーマンスなどのおまけがあった。
「ジンジャーに乗って」という公演タイトルから、巨大なショウガの上に立っている人物を思い浮べていたのだけれど、ジンジャーとは未来型の奇妙な二輪車セグウェイのコードネームのことだった。セグウェイ本社から「セグウェイ」の名称を公演タイトルに使う許可がおりなかったとのこと。

本編は二部構成になっていた。
タイトルどおり、ジンジャー(セグウェイ)に乗った二人の男が登場する。二人は友人同士、ジンジャーに乗ったまま、だらだらととりとめのない雑談をしながら町を散策する。散策の途中でいろいろな奇妙な人たちに遭遇する。しかしおおむね大きな波乱はなく、ジンジャーに乗った散策が終わる。これが第一部の内容。第二部では結局は何も起こらなかった二人の男の散策をもう一度反復する。しかし今度はジンジャーを降りて二人は散策することになる。
第一部と同じ出来事が再現されようとするのだが、パラレルワールドに移動してしまったかのように、二人が遭遇する出来事は第一部のセグウェイ上で経験した出来事とはちょっとずつずれてくる。

二人が遭遇する小さな出来事、どれも瑣末的な日常のエピソードに過ぎないのだが、これらは快快のメンバーが実際に行った「夜通し焼酎パーティー」とその後、ネットカフェで時間をつぶしたり、あるいは地下鉄で帰宅したり、だらだらと二日酔い状態で歩いたり、といった行動の記憶がベースとなっている。若くて、少々せつな的な日常の断片が、ガラクタのように並べられる。虚無的な雰囲気もただようこの日常の雑然としたコラージュは、それでも確実に若き日々だけが持ちうる輝きと切なさを、ある種の叙情とともに伝えている。そのまぶしいような若さの表現がきゅーっと心にしみる。
チェルフィッチュが提示する世界と共通する雰囲気を持っているが、快快の表現はポップで陽性であり、観客をひきこむお祭り的な心地よい狂騒がある。
とりわけオープニングとエンディングのダンスの表現は絶品だった。