閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

リチャード三世

http://www.parco-play.com/web/page/information/richard/

榎木孝明、大森博史
三田和代、銀粉蝶久世星佳
天宮 良、山本 亨
増沢 望、西川忠志川久保拓司森本亮治
逆木圭一郎、河野まさと、村木 仁、礒野慎吾、
吉田メタル、川原正嗣、藤家 剛/若松武史

このいのうえひでのり古田新太版の『リチャード三世』を大枚をはたいてでも見てみたいと思ったのは,『マクベス』と『リチャード三世』を合わせて翻案したかのような『朧の森に棲む鬼』を二年前に見てものすごく面白かったからだ.ほかのシェイクスピア芝居では見ることができないような,大胆に解釈され,娯楽性に富んだ『リチャード三世』を見ることができるのではないかと期待したのだ.古田新太というのはまさに「リチャード三世」を演じるには雰囲気がぴったりであるように思えたし.

ところが予想以上に,原作の設定や翻訳文の台詞に拘束され,不自由でぎごちない舞台になってしまっていた.それにシェイクスピアの修辞的台詞を古田新太が思いのほか消化できていない.台詞の重さに振り回されて持ち味が発揮されていないように僕には思えた.
これはほかの役者も同じ.台詞をきっちり支配していたのは銀粉蝶ぐらいか.うーん,翻訳劇,とりわけ古典の台詞ってやっぱり負荷が高いのだなとあらためて思った.

結局,ことばの重さとオリジナルの設定というしばりが,新感線芝居特有の強引な勢い,のりを奪い取ってしまい,不完全燃焼の冗漫な舞台になってしまっていたように僕は感じた.うーん,これが1万円の芝居かあ.

安田成美,すがたかたちは美しいけれど,舞台では全然働いてなかった.