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重力/Note
- 原作:W.ブルヒェルト
- 構成・演出:鹿島将介
- 出演:石井萌生、片岡佐知子、北澤輝樹、瀧腰教寛、立本雄一郎、八木光太郎、吉植荘一郎
- 劇場:王子神谷 シアター・バビロンの流れのほとりにて
- 評価:☆☆☆
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ボルヒェルトは1947年に27歳の若さで夭折したドイツの作家.戯曲はこの『戸口の外で』のみであり,初演はラジオドラマとして上演された.ソ連での戦闘,シベリアでの抑留生活を経てドイツの故郷に帰国した元兵士の物語.自宅の妻の傍らには別の男がすでにいて,男は行き場を失い,町のなかをさまよい,何人かの人間と対話を行う.
日本庭園の石庭みたいな美術がかっこいい.ちらしの写真もかっこいい.
自分が台詞をしゃべるとき以外は,舞台上で彫像のごとく硬直したままの役者たちの姿がかっこいい.視覚的な面はとても洗練された雰囲気の舞台だった。
しかしちらし裏の文章から覚悟はしていたけれど,予想通り頭でっかちの難解か舞台だった.昨年秋に見た三浦基の地点やOrt-dとちょっと雰囲気が似ているように思った.
表現として目指したい地平,その志の高さはなんとなくわからないではない.でも演出家による気負いに満ちた韜晦,修辞満載のテクストは空虚であり,舞台表現の内容もその理想の高さに対して空回りしているように僕には思えた.たまたま座ったパイプいすの座る面が微妙に前傾していることもあいまって(なんか落ち着かないのだ),かなり厳しい95分間になってしまった.
作家/演出が持っているはずの,この表現を目指す,この世界を描きたいというコンテクストが不明確で,僕にとってははなはだ不安定で虚ろな舞台に感じられた.あるいは,どのように語りたいかというのは伺えるけれど,何を語りたいか,なぜ語りたいかが曖昧であるように思った.