快快
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- 作:北川陽子
- 演出:篠田千明
- 舞台監督:佐藤恵
- 美術/映像:佐々木文美
- 音響/照明:快快
- 衣装:藤谷香子
- 振付:野上絹代
- 出演:天野史朗/大道寺梨乃/中林舞/野上絹代/山崎皓司/NAGY OLGA
- 劇場:五反田 GOTANDA SONIC
- 評価:☆☆☆☆
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2005年に初演された作品の再演だが、今回の上演は英語版。上演時間約50分。
タイトルがとても素敵だと思う。芝居が終わった後、このタイトルの文句が頭の中で繰返し響く。
もちろんタイトルだけでなく、その中身も素敵なものだった。洗練された身体表現と詩的なことばの結び付きによって、猛烈にセンチメンタルでささやかな物語が描き出される。
「愛って何? 愛するってどんなこと? 愛されるってどんなこと?」。くすんだネオンサインの光のなかで、ぼんやりと浮かび上っているかのような渋谷の街中を、若者が、アンドロイドが、ロボットがふわふわとした頼りない足取りで、この問いかけの答えを探しながら彷徨していた。彼らは愛についての問いかけを繰り返すことのなかで、自己存在を確認しようとしてもがく。
頭を割られ傷口からピンク色の脳漿をさらしながら、よたよたと歩く鳩というグロテスクでシュールリアリズム的なイメージから、曖昧模糊とした幻想的な渋谷で体を売るアンドロイド、ロボットの娼婦たち、未来からやってきた女性など、連想が拡大し、夢の場面のように自由に連鎖していく。この連鎖の放縦ぶりがとても心地よい。
英語版となるが、役割を与えられた演者たちに割り当てられた台詞はごくわずかであり、大半の場合、ナレーターがボイスチェンジャーを使って各人物の台詞を読み上げる。この読み上げられる台詞は単純な(中三レベル?)の英語で書かれている。役者は読み上げられる英語の台詞に合わせ、動きが誇張されたパントマイム的芝居を演じる。英語の表現のつたなさが、そしてそのつたなさを補おうとする身体的動きが、「愛」というとらえどころのないものに到達することができない、苛立ち、もどかしさの表現となっているように思った。
今、僕が最も好きな舞台女優のひとりである大道寺梨乃さんがフィーチュアされた舞台であったことも嬉しいところ。新品のバネ仕掛け人形のようにピンと勢いよく伸ばされる手足の表現がとても印象的だった。男優二人の運動能力の高さ、動きのしなやかさも、見ていて心地よい。
最後の場面はああいう感じになるだろうなとは思っていたが(実はもう少し一ひねりして、びっくりさせてほしいと思った)、やはり破格に切なくて胸がジンとなった。