閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

罪とか罰とか

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ナンセンス喜劇。ケラ風の黒い笑いが芝居に較べるとかなり薄めなのが物足りない。ここのところちょっと足が遠のいているケラの芝居を久々に見に行きたくなった。ケラリーノの長編映画作品はこれが3作目だが、最初の作品である『1980』が圧倒的にすばらしくて、あとの2作は個人的にはボチボチといった感じだ。『罪とか罰とか』は冒頭の段田安則のエピソードが一番好きだ。
『罪とか罰とか』はキャストが何気に豪華だ。この豪華さ自体がギャグになっているように思える。演劇ファンは特に、個性的な役者たちの演技のディテイルを味わい楽しむというちょっとマニアックな見方もできるだろう。串田和美の芝居もとても可笑しい。小技的な馬鹿馬鹿しい繋ぎ場を楽しむ映画だとも言えるかも知れない。
しかし核となるヒロインに存在感が乏しいのだ。ちょっとひねった趣味のアイドル映画なのだけれど、主人公の成海璃子にあまり魅力を感じなかったのが、映画をそれほど楽しむことの出来なかった最大の要因だ。ケラの笑いにありがちな定型的演技を素直にこなしているのだけれど、それがあまりに定型的すぎて笑えなかった。言われた通りやってみました、という感じが出過ぎていて、見ていてちょっと白けてしまうのだ。