閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

マイハマ・バイス

ATTENTION PLEASE! Vol.4
http://www.attention-please07.com/index.html

  • 脚本・演出:山縣有斗
  • 出演:櫂シュウ、松坂龍馬、山村誠二、小田島亜庭、山縣有斗他
  • 劇場:笹塚 デュオステージBBS
  • 上演時間:1時間50分
  • 評価:☆☆☆★
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深夜の舞浜駅でコインロッカー爆破事件が起る。若い重要参考人が勾留され取り調べを受けるが、彼は事件については何も語らない。捜査が進むなかで、この事件は駅のそばにある巨大テーマパーク、「魔法と夢の世界」の人間たちと関わりを持つことが徐々に明らかになって行く。

推理劇として設定は面白い。結末に意外性もあり、書き手の狙いも最後で明らかになる。しかしディズニーランドという実在の巨大施設を作品の背景として使うのは、公演の規模、劇団のスタッフを考えると無理があるように思った。中途半端に戯画化されたディズニーランドは、劇世界を作り物めいた嘘くさいものにしてしまう。リアリティに依拠して物語を展開させている部分もあるため、矮小化されたディズニーランドによって、劇物語が安っぽく、薄っぺらいものに感じられてしまうのだ。芝居が観客に提示する「見立て」にのっかって、想像力を膨らませることが僕には難しかった。

ナンセンス味のあるギャグの場面はよくできていて何回か爆笑する。伏線の置き方も効果的なところもあったが、展開や動機のディテイルには粗っぽさを感じた。伏線の回収の場面でも、推理劇としては詰めが甘くてつっこみたくなるところもあって、ぴったりとシャープに収束していくという快感に乏しかった。役者の演技は前回見たAttentions please!の公演より全体的な安定度が増したように感じられた。Gパン刑事役の長身ハンサムな役者が特にいいなと思った。

主題やドラマのスケールを考えると、小劇場よりもむしろテレビドラマなどに向いている作品であるように僕には思えた。またそうした方向性をねらっている作品であるように感じられた。