ロメオ・カステルッチ (ソチエタス・ラファエロ・サンツィオ)
http://festival-tokyo.jp/program/paradiso/
- 演出・構成:ロメオ・カステルッチ Romeo Castellucci
- 舞台美術:ジャコモ・ストラーダ Giacomo Strada
- 美術・機械・人工装具:イスタヴァン・ジッメルマン、ジョヴァンナ・アモローゾ Istvan Zimmermann, Giovanna Amoroso
- 技術:フェデリコ・レプリ、ガブリエレ・ブオノモ、レオナルド・ブカロッシ
- 出演:ダリオ・ボルドリーニ、ミケランジェロ・ミッコリス
- 会場:にしすがも創造舎
- 評価:☆☆☆☆
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カステルッチの『神曲─天国篇』はインスタレーション形式で鑑賞時間は5分。一人退場すると一人入場といった具合に会場のなかにはいる。入り口を入ると会場は黒布で覆われていて暗い。ガイドにそって進んでいくと巨大な白い立方体にいきつく。入り口が指示されているので、その狭い入り口から立方体のなかに入っていく。立方体のなかはまず六畳ほどの広さの「待合室」。ここは真っ白な空間である。その待合室の右手に人一人がかがんで入れるぐらいの大きさの穴が空いていて、その奥にまた空間がある。くぐって入ると真っ暗である。滝のように温水のシャワーが上方からしたたりおちている。その水の出所あたりを見上げると白い人物がもがいているのが、目が暗闇に慣れるにつれみえてくる。岩の間に身体を挟まれているかのようにその白い人物は壁の上方でもがきつづける。その動きによって水のほとばしる方向が変わる。音は水が地面に落ちるときの音だけ。鑑賞時間は五分とされているが、それぞれが満足するまでその場にたたずみ、もがいている白い人物を見上げていた。その暗闇へ入る丸い出入り口からは、「待合室」からの白い光がこぼれ入っているのだが、人の出入りのたびにその光が遮られる。
「うーん、なるほどねえ」と思わずうなる。発想はとても面白い。まったく予想外の「天国」だった。救いのない天国だな。
フランスのアヴィニョンのフェスティバルのときは、炎天下に長い入場待ちの列が出来たそうだ。行列には比較的従順なフランス人もあまりの暑さにクレームをつけたとか。西巣鴨の天国はむわっと暑かったけれど、アヴィニョンの天国はひんやり涼しかったに違いない。