閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ダーウィンの城

文学座アトリエ公演
ダーウィンの城 あらすじ

  • 作:鐘下辰男
  • 演出:高橋正徳
  • 美術:乘峯雅寛
  • 照明:賀澤礼子
  • 音響効果:原島正治
  • 衣裳:山下和美
  • 出演:吉野由志子、征矢かおる、藤粼あかね、牧野紗也子、金内喜久夫、中村彰男、大原康裕、高橋克明、櫻井章喜、石橋徹郎、植田真介、川辺邦弘、斉藤祐一
  • 劇場:信濃町 文学座アトリエ
  • 評価:☆☆☆☆★
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鐘下辰男の戯曲がかなりえぐい。演出も鐘下かと思えば違った。
タワー型の高層マンションを舞台に現代の日常生活の闇を露悪的に描く秀作だが、暴力の表現のえげつなさ、人間の悪意の描き方の悪趣味に戦慄した。
殺伐とした後味のアクの強い芝居だった。しかしその描写には有無を言わせぬリアリティを感じた。
この芝居で再現されている地獄は現実に確実に存在するような気がする。いや、私自身の日常のなかでも、あの芝居で描かれている世界に近似したグロテスクさを実際に目にしてきたようにも思う。あ
ちょっと足を変な方向に踏み出してしまうと、周りの空気に背中を押され、気がついたらとんでもない地点行ってしまうようなことは珍しくない。
自身が抱え持つ差別意識や悪意の再検討を迫られているような気がした。