閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ヘブンアーティスト in 渋谷

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渋谷で大道芸のお祭り(ヘブンアーティスト)があったので娘と一緒に観に行ったきた。
今日の大道芸祭は比較的小規模で開催時間は13時〜15時半まで。数年前からこの時期に渋谷でやっていたそうだが私は知らなかった。

楽しかった、面白かった。でもそれ以上に寒かった。寒さは予想していたけれど、観客はまだ厚着できるが、演者はおおむね薄着もしくは半裸だったりするので大変だ。我々はたいてい最前列のポジションで座って芸を見る。娘は携帯用座布団持参していたが正解だった。私はお尻からも冷えがじーんと上がってきた。

最初はくるくるシルクを見た。
http://www.crucru.net/
くるくるシルクを見るは昨年2月の氷川台スタジオPACでの公演以来である。赤、青、黄の男三人組によるジャグリングとアクロバット芸。
3人組のコンビネーションを生かした多彩でスピード感あるプログラム構成で、小さい子供から大人まで楽しめる芸風だ。今日は5才ぐらいの女の子がよく反応して大きな声で笑っていた。

次は男女ペアのパントマイム、シルヴプレ。
http://svp.twinstar.jp/
このユニットは昨秋上野で初めて見て、たちまち好きになってしまった。このコンビの見た目は地味だけど、スキットの台本がとてもよくできていて、実に面白い。パントマイム芸自体を見せるというより、その技術をコントの流れのなかで自然に上手く取り混んで、洒脱で洗練された雰囲気のショーを構成している。ほんわかした雰囲気を持つが、そのギャグは時折シュールでときにかなりブラックな笑いを含んでいたりすることもある。白色で統一された服装などビジュアルもいい。また女性マイムの堀江のぞみさんが本当に可愛らしい。キュートな彼女を見るのも大きな楽しみの一つ。今後も最優先で追っかけて見てみたいパントマイム演者だ。二月にシアターΧで行われる舞台公演のチケットも購入済。演技の場としては大道芸よりはるかに条件が整っている舞台上で彼らがどんな世界を見せてくれるのか楽しみだ。

今日はくるくるシルクでもシルヴプレでもアンプのトラブルがあった。同行した友人によると寒さのために電圧が下がったからだろうとのこと。シルヴプレの公演では最後は演者が声を出して即興で歌を歌うはめになった。ハプニングはハプニングで観客は喜んだけれど、パントマイムは音楽が重要で三〇分のプログラム構成に合わせて音楽を編集しているのでこういったトラブルはたまらないと思う。

この二つを見た時点で寒さに降参。建物の中に入り喫茶店でお茶=お菓子時間を取った。

最後は雪竹太郎の「人間美術館」を見た。ロダンの「考える人」、「弥勒菩薩像」などの名作を再現する身体芸。大道芸の世界ではとてもよく知られている人だが私は生で一度も見たことがなかった。今日はこの寒さのなか、半裸でのパフォーマンス。風もかなりあった。見ているだけでこちらも凍えそうだ。ユニークではあるがかなり地味な芸でもあるので客の集まりは残念ながら今ひとつだった。寒さもあってノリも今ひとつ。私と友人は頑張って声出して盛り上げようとしたけれど。美術ネタだけにやはり美術館のある上野でやるのが相応しい芸だろう。寒空の渋谷とはあまり相性がよくなかったかもしれない。
「人間美術館」の最後は観客五名を引きずり込んでピカソの大作「ゲルニカ」を活人画で再現するというもの。これには私の友人と娘も参加した。観客参加の「ゲルニカ」では流石にちょっと盛り上がる。しかしあの寒さのなかで30分間半裸、それが仕事とは言え壮絶なものだ。 こういった芸を見ると何か胸を締め付けられるような感覚に襲われる。
身体一つで世界を巡り、その芸で見知らぬ人々に束の間の夢を見せて日銭を稼ぐ大道芸演者たち、彼らは本当にしびれるほどかっこいい。