- 作:アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ
- 台本・演出:佐久間崇
- 照明:清水利恭
- 音響:成富永通
- 衣裳:大野典子
- 舞台監督:浜辺心大朗
- 演出助手:吉野知絵美
- 出演:大竹周作 松原ひろの 細越みちこ 山根舞 千葉三春 宋英徳 井上倫宏 渡辺穣
石井英明 平野潤也 千葉勇佑 ハゼヤマ俊介 杉浦慶子 丸岡奨詞 柳川慶子
- 劇場:ステージ円
- 上演時間:上演時間2時間45分(休憩10分)
- 評価:☆☆☆☆★
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軽やかでリズミカルで『三人姉妹』で長さを感じなかった。
その軽やかさな明るさのなかで、チェーホフの原作に感じられる生へのニヒリズムは確かに漂っている。諦念し、絶望しつつも人は生きていく。私が漠然とイメージする『三人姉妹』が円の舞台にはあった。役者の演技の連鎖のなかで生み出されたリズムとハーモニーが心地よい。アンサンブルのよさを感じさせる舞台だった。そしてそのアンサンブルのなかで心地よい詩情も立ち上っていた。
登場する人物のなかで自分が一番共感するのはアンドレイか。一家の期待の星だったけれど、結婚後、一家に君臨し、三人娘を抑圧するモンスターとなる奥さんのもと、どんどん無力でダメになってしまう男。
今回の観劇では、作品に素直に人生訓を読み取ってしまった。人生は思い通りにならないことだらけ、突然の不幸、不運、うんざりするような退屈な時間、己の凡庸さへの幻滅、無残な現実を直視できない弱さ、ごまかし、数え切れないほどのやりきれない思いを抱えながら、それでも人は生きていく、生きていける。『三人姉妹』はそういった満たされない思いを抱えて生きているわれわれを応援し、慰める詩劇だ。